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青一点【BSR】

第2章 初陣の日


「あっ! ぼーん!」
 政宗の馬の背に乗せてもらい丘の上まで行くと、そこには成実・小十郎・綱元の三人、集合した伊達軍の兵と、伸された農民が多数転がっていた。
 主君の馬にいつまでも乗っている事が申し訳なくなり、雄司は慌てて馬から降りる。
「…政務はどうなさったのですか、政宗様」
 小十郎は凄み、政宗をかっと睨みつけた。
「あーあー、そうカリカリすんじゃねぇっての。向こうの森の中に豊臣がいた、だから全員殺って来た」
 見つけたのはこいつだぜ、と政宗が雄司を示した。
「かなりいたからな、もうこの辺に城を攻められるほどの戦力はいねーだろ。…最も、この近くに竹中半兵衛はいるみたいだがな」
「「「竹中半兵衛!?」」」
「いえ、戦意は無いと言っておりました」
「…臭ぇな」
 小十郎は気難しげに腕を組んだ。
「…それよりも梵天、一揆はまだおさまっていないのですよ」
「は?」
 綱元が刀で背後の頑丈そうな門を指した。成実が肩をすくめる。
「梵を出せってうるさいんよ。俺たちが行っても全く取り合ってくれないし、壊すわけにもいかなくってさぁ」
「はぁ…」
「しかも、先程中に幼い女の子が入って行ったんですよ… どうなっているんだか」
「女の子…ですか」
 そういえば、さっき捕えられていた農民らしき女の子はどこに逃げたのだろう。無事逃げ延びられていればいいが。
(あのまま少し隠れていてくれれば保護もできたってのに…)
「じゃぁ、俺が行けば万事解決だな」
「いえ、政宗様が行くほどの事でも」
「別に俺が行ったってdemeritはねぇだろ? 負ける訳じゃねえ」
「梵! 俺も俺も! ついてくかんね!」
「では私も僭越ながら」
「………私も行かせていただきます」
「OK、」
 政宗は軽くぴゅうと口笛を吹いた。
「で、Ah… 雄司だな、お前も来い」
「は? いえ、俺はご遠慮します」
「初めてなんだし、いい機会だろ? おい、新入り皆出てきな! 一緒に入るぜ!」
『応!』
 政宗が手招きをすると、見覚えのある顔が数人出てきた。
「お前は適当な馬に乗せてもらえ」
「…は」
 言われて思い出した。出雲は無事だろうか。
(ごめん、出雲… すぐ迎えに行くから)
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