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青一点【BSR】

第1章 選抜試験


 ちょうど朝食を食べ終わった頃、突然襖が開いた。
「入るぜ」
 片倉小十郎である。雄司は箸を置いて彼を迎え入れた。
「どうぞ」
 少々乱暴な振る舞いであったが、それが伊達の流儀ともいえる。輝月は元々大雑把な性格であるため、逆に好感を持てた。
 この軍、俺に合っている気がする。
「農民出の『雄司』で、合ってるな?」
「ええ。よろしくお願いいたします」
 深く礼をすると、即座に「…顔を上げろ」という言葉が降ってきた。見ると、何故か苦い顔をしている。
「おめぇみたいな礼儀正しい奴はこのへんじゃなかなかいなくってな。全く調子が狂っていけねぇ」
「はぁ」
 気を取り直すように、小十郎は咳払いをした。
「それはともかくとして、だ。おめぇ、そんな華奢なナリして伊達軍に入れると思ってんのか?あん?」
 これはもう試験なのだろうか。彼はこちらをぎんと睨み、脅すかのように問いかけた。
 流石右目と言ったところだろうか、迫力がびりびりと伝わってくる。雄司は一瞬たじろぎそうになった。
「ええ、身のこなしには自信がありますのでね」
 雄司も負けじと食ってかかる。凄まれたくらいでうろたえるようならすぐに落とされてしまうのだろう。
 雄司の対応に、うん、と小十郎は納得するように一度、仏頂面で頷いた。
「いい性格してんじゃねえか」
 全く褒められているように感じられない。
「して片倉殿、本題に移ってはくれませんか。いくら礼儀正しいと褒められた俺とて、伊達軍に入ろうとしてる男の端くれですからね、ちょっとばかしせっかちで」
 雄司は肩をすくめ、とぼけた仕草をした。
 小十郎は拍子抜けしたような顔をした。
「…ああ、そうだな」
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