第1章 選抜試験
ビシィ!!!
「!?」
雄司は全くなにがなんだかわからない。政宗と小十郎に向くと、面食らったような顔をして固まっている。
「???」
「あー… コホン」
小十郎が咳払いをし、切り出す。
「おめぇのは、俺らと同じ…雷、らしいな」
「はぁ」
何が起こったのか全く理解できない。雄司は首を傾げた。政宗は眼を輝かせている。いいものが見れたという顔だ。
「ちょっと俺らとは違う… よな、小十郎」
「ええ」
「周りの壁、見てみろよ」
「?」
言われてぐるっと見渡すと―――全方面、横真一文字に焼け焦げたような跡ができている。
「えっこれ俺が…?」
「それは特別だから、どんだけ弱くても一応見えるくらいにはできる性能だ、しっかしおめぇ…」
小十郎は溜息をついた。
「何ですか、どういう事ですか、修理代ですか、給料抜きですか借金ですかっ」
「いや、修繕費は考えなくていい。
てめぇの雷は、一瞬で横にパッと広がる感じで見えたのさ」
「?」
「俺と小十郎の雷は、どっちも貫く感じっていうか、一点集中みてぇなのだ。で、てめぇのは一気に広範囲に広がるって感じか?」
「へー…」
「まぁそれなりに力があるってわかっただけで十分だ、おいおい説明していくさ」
「あ、はい」
「んじゃ、それ寄越せ。次行くから」
「え、あ、どうぞ」
???
「まぁさっきので決定的だな、お前確実に合格。じゃ」
「はぁ、ありがとうございます」
そして二人は去って行った。
雄司は最後まで取り残されたまま、頭に疑問符を浮かべていた。
(嵐みたいだったなぁ…)
修繕費に心配はないようなので良しとしよう。
「……………で、『婆沙羅』ってなんだ?」
二人が去った後もしばらく呆然としており、やっと出てきた言葉がこれである。
目の前で起こり、この目で見て、その上自分が起こしたものだというのに未だ実感がわかない。
生まれた時から平凡に農民として暮らし、そんな超越的な事からは無縁でいただけに、雄司には全く理解不能なのだ。