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青一点【BSR】

第1章 選抜試験


「名前は? 雄司ってーの? へぇ、農民っぽくない感じだね?」
「なな、どこから来たの? …うーん、知らないなぁ… じゃあさ、馬乗れる? へぇ、今度遠乗り行こうぜ! 受かったらな!」
「いくつ? え、16? わっかいなぁ… ま、かくいう俺も一応20前半ではあるけどな!」
「ってか、よっく見ると本当にちっさいね! …あ、ごめ、ちょっと軽すぎたわ」

(なんなんだこいつはッ…!)
 ついてきてはみたものの、彼の質問の応酬で全く会話が途絶える気配がない。やたら軽いのは彼の性格か試験の一環なのかわからないが、とりあえず真面目に応対しておかなければならない。
 というか、正直… 疲れる。
 彼が嫌だ苦手だとは違うし、親切だったり失言は謝ってくれるので印象はいいのだが、落ち着きがなく見えてしょうがないのだ。自分が年上かのように思えてくる。やがて雄司は
(大きな弟みたいだ…)
  と思い微笑ましくなってきた。たまには自分から話しかけてみようと思い立って口を開いたが、彼の名前を知らない事に気付く。
「あの、失礼を承知で… お名前は…?」
「え? ああ俺? どう呼んでくれてもいいけど、伊達藤五郎成実と申しまする、以後お見知りおきを。ってところかな?」
「えッ」
 全身の筋肉が強張った。思わず立ち止まる。
「ん? どした…?」
(伊達藤五郎成実だと!? こいつが!? 右目と同列の重臣!? コレが!? 俺何言ってたっけやっばいじゃん! うわああああどうすんのもぅ…)
「おーい? 雄司? 凍っちまったみたいに動かないけど大丈夫?」
 実際大丈夫ではない。頭の中が全く大丈夫ではない。
 あーそっか、この軽いのは成実様なんだー…
「あーはいだいじょうぶですー」
「本当に大丈夫それ? …まいっか動くようになったし。あ、ちなみに地位とか俺にはあんま関係ないから! いっそシゲって呼ばれても大丈夫なくらい」
 それを先に言ってくれていれば幾分気が楽だったのだが?
「…ありがとう、ございます」
 ここに来てから驚きっぱなしである。心から、なんて恐ろしい軍だろう、と思った。
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