第1章 朝帰り
「…。なあ、敬浩さんの事、まだ好きなの?」
「え??何急に。」いつになく真剣ながんちゃんの表情に調子がくるう。
「どうなの?」
「…。好き。まぁ、叶わない恋だけどね。笑」
「そっかー。ねー、気晴らしに今度メシ行かない?」
「がんちゃん、私なんかでいいの?ほら、あっちのモデルの子たち、さっきからがんちゃんの事見てるよ。」
「あー。さっきも声かけられたけど、タイプじゃないんだよね。」
「えーーー。あんなにかわいいのに??」
「なんかやだ。きれいだから良いってもんじゃないし。一緒に居て楽なほうが良い。」
そう言うといきなり、後ろから抱きしめられた。
「!ちょ、がんちゃん????人が見てるよ。」
確かにがんちゃんはボディタッチが多いと思う。でも、こんな所でいきなり抱きつくなんて、相当酔ってるのかも。
「うー。気持ち悪いかもー。」
「やっぱり…。トイレいく?」
「ううん。ちょっと横になる。」
テラス内のベンチでがんちゃんをひざまくらをして、水で濡らしたハンカチをおでこへ置いた。
「かっこわりー。俺。」
「疲れが溜まってたんだよ。ちょっと、寝たら先においとましよう?」
「うんー。」ぎゅっと私の手を握ると寝息を立て始めた。