第1章 朝帰り
「あ!敬浩!」彼の姿を見つけると自然と顔がほころぶ。
速足で敬浩の所へ行く。
「敬浩~。お疲れ様!」抱きつくのは我慢した。
「おう。おっ、ドレス似合ってるんじゃん。ちょっとまわってみて。」私は、言われたとおりくるりとまわる。
「お前、背中開きすぎじゃね?」そうなのだ、このドレスのバックスタイルは大胆に背中が見えるタイプだった。
「セクシーでしょー?」
「はいはい。あ、美冬さん。こっち。」
「ごめんねー。お待たせ。」
ベージュのサテンドレスを身にまとった彼女の美貌に一瞬どよめいた。
敬浩は美冬さんの腰へ手を回してエスコートをする。
「…。」みたくない現場を間近で見てしまった私は、風に当たる為に屋外へでた。
「はー。」大きなため息が止まらない。
「いたー。名無し、どこいったかと思った。」
がんちゃんを置いてきてしまった。
「ごめんね。勝手に動いて。」
「俺も大概落ち着きねーけど、名無しには負けるかも。笑」
「がんちゃん、顔赤いよ。」
「うん。ちょっと、強いの飲んできた。」
「無理しちゃダメだよ。」
「いやー。その、緊張しちゃって、名無しすげーきれいすぎて調子でない。」
「笑。がんちゃん飲みすぎ。」
「だよねー。あ!流れ星!」ふいにがんちゃんが夜空を指さした。
「え!うそ!」私が見たときはすでに無かったが、都内とは思えないくらいにきれいな星空があった。夜景とのコントラストがまた美しい。
「きれー。」