第3章 馴れない距離感(敬浩side )
「えー。もう、厳しいなぁ。。洗濯物は帰ったらするし、掃除機はもうかけたもん。」
「じゃあ、俺チャーハン食いたいなぁ。作って。買い物なんてネットでやればいーじゃん。引っ越し先に届く様にしてさ。俺も一緒に探してやんから。」
どうしても行かせたくない。もしかしたら、がんちゃんと会うかもしんねーし。
「やだ。私は、敬浩とは一緒に居たくないもん。チャーハンは、帰ったらね。行ってきます。」
…。がーーーーーーーん。
「俺、今の立ち直れないかも…。」
ソファーに倒れこむ。
娘にパパと一緒にお風呂はいりたくなーいとか言われるとこんな気持ちになんのかな。泣
「♪♪♪~」
電話が鳴ってる。
「はい。。。」
相手は美冬だった。
「敬浩、今からデートしよ☆」
「わりい、今そんな気分じゃなくて…。ごめん。また。」
「えー?大丈夫?なに、失恋した?」
「そーそー。まさにそうなんだよ……って、俺別にあいつの事好きとかじゃないし!俺が好きなのは……。」
「好きなのは?」
「…。わかんない。」
「あっそ。じゃー、私は他あたるね。バイバイ。」
あっさり切られてしまった。
俺、最高のチャンスになにやってんだ??
いや、チャンスだったのか…。そもそも、俺は誰が好きなんだ?
頭が大混乱している。
「うーーー。」
いつの間にか寝てしまっていた俺。
目覚めると目の前に名無しが心配そうに見つめている。
「敬浩、大丈夫?具合悪いの?」
「…。名無し。」名無しを抱き寄せた。
今度は拒まれなかった。安心する。ずっとこうしていたいとさえ思う。
「敬浩…。やだ。」
う…。幸せの時間は束の間。また胸をえぐられる。
「俺は、いつもこうやってお前の胸もえぐってきたんだな…。ごめんな…。」
ぎゅっと抱きしめる。
「どうしたの?本当におかしいよ。敬浩からこんな事するなんて。」
「だよな。。ごめんな。」
俺は彼女から離れて寝室へ入るとベットに倒れた。
「かっこわりぃなー。俺。」
自分が望んでいた事なのに。
こんなにも苦しいとは思わなかった。
俺は名無しのことを考えながら眠りについた。