第3章 馴れない距離感(敬浩side )
「敬浩、ちょっといい?」
名無しが真剣な顔でいってきた。
朝から嫌な予感がする。
「私、来月には引っ越することになったの。でね、業者が入ると思うから。騒がしくなるけどごめんね。」
きた。
この日がいつか来るかと覚悟したけど、思ったよりもずっと早く来てしまった。
「なに、どこにすむの?がんちゃんとこ?」
聞きたくないけど、気になった。
「ううん。誘われたけど、断った。中途半端な気持ちで転がり込みたくないし。でも、、、がんちゃんのことは真面目に考えるつもり。」
優しい笑顔を浮かべる。
そんな顔して、他の男事なんて話すなよ。
「引っ越しの日決まったら教えてな。」
「うん。わかった。」
そう言うとどこかへ出掛けるのか用意をしている。
「どこいくの?」
ごく自然に口から出てきた言葉。
「え?お買い物だけど。。引っ越すし色々買いたいし。」
「ふーん。一人で?」
「??なに?(笑)関係なくない?」うざったそうにそう言うと玄関へ行ってしまった。
…。グサリ。
名無しに冷たくされるなんて初めてだから思ったよりも突き刺さった。
って言うか、すっげー胸がズキズキする。
「いっくなよ…。」名無しの手をつかんだ。
まずい…。つい言葉にしてしまった。
「え…?どうしたの…?なんかおかしいよ?敬浩…」
心配そうな顔。
「その…。ほら、お前さ掃除終わったの?洗濯も。居候と交換条件忘れてねーかー?」
苦しすぎる言い訳をたどたどしく言って名無しの鼻をつまんだ。