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【C翼】若林くんと補習で同じ教室になった件 他【短編】

第1章 補習初日のお話し


 机は講義室などで使われる長机と椅子が一体型になったもので、ドリ子はそのスポーツバッグが置かれている場所からちょうどななめの位置の、ふたつ後ろの席に座った。
 
 授業の時間は暑い時間帯を避ける対策も兼ねて、8時半スタートで11時半終了だ。始まる5分前にドアが開き、おはようございますの声とともにモブ先生とそのかばんの持ち主が現れた。

 若林源三だ!
 
 別のクラスにいるサッカー部のキャプテンだ。彼には良くも悪くも噂が多い有名人だ。全国小学生サッカー大会でV2を達成したこととか、南葛の名士の坊っちゃんだとか、サッカーの練習を見に行った女子が井沢君にキャーって言ったら邪魔そうな目でこっちを睨んできたとか、女じゃなくて小さくて可愛い男子が好きだから女子には厳しいとか、……そういえば学校を休んだのも病気とかじゃなくてわがまま言って学校サボったとか、本当かどうかはともかく色々な話しは聞いていた。これなら、先生とマンツーマンの方がよかったのかもとドリ子は思った。
 そのときモブ先生がドリ子に声をかけた。
「夢主さん、後ろじゃなくて前においで」
 と、若林と同じ机に座るように、指で場所を示した。気まずいなあと感じながら、移動して席に着こうとしたとき、座っていた若林と目があった。固くはにかんだ顔の若林が会釈してしてきたので、ドリ子も会釈し返した。気まずいと思っているのはどうも向こうも一緒らしい。
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