第12章 12Qー本音で宜しく
しかし軍振り分けについて問題点が一つ…。
私はまだ練習で自分の‘‘能力”を出していない。
基礎練習だけだったので必要も無かったし、必要があっても出すつもりは無かった。
しかし今日は応用技術が必要となってくる試合。
周りの一年生も筋の有る子が多いし、何せあのキセキの世代が居るのだ。
この試合の中で‘‘能力”が必要になってくるのは時間の問題だろう。
『何あの子…。気味悪い…。』
『人間じゃねぇ…!!』
過去に投げ掛けられた暴言の数々…
こちらの世界で、皆が私のプレーを褒めてくれたとしても、トラウマが消える訳ではない。
能力を使って、皆に厭われたら…。
「名前、顔色が悪いです。」
いつの間にか隣に立っていたテツヤに声をかけられる。
「私は…。」
「大丈夫です。
名前の出来る限りの力を出して来て下さい。
手を抜かれては相手にも失礼です。」
何でこいつには私の心の中が分かってしまうのだろうか…。
助けてもらってるばかりだ。
「テツヤ…ありがと…。」
「はい。では、僕は1試合目ですので。」
私の頭に手を置いた後、両手首に付けたリストバンドをぱちんっと鳴らせ、コートへ向かう。
テツヤも頑張ってね。
声には出せなかったが、私は心の中でしっかりそう言った。