第1章 1Qー水色の
それから部屋で大量のジャンプに埋れながらボーっとしていた私は“テツヤ”に急かされ、急いで身支度を済ませた。
「……………。」
「……………。」
登校中、チラッとテツヤの方を見る。やはり幼い。
さっき自分の顔を洗面台の鏡で見たときもかなり幼くなっていた。
朝食中お母さんが『あんた“たち”も制服デビューね』と言っていたということは、今日は中学校の入学式。
そして私たちは同い年。
じゃあ…双子…?
いや、でもこれはたぶん夢だ。
だから深く考える必要もない。
そして私は自分が着ている制服に目を落とす。
昨日まで部屋の壁には、私の高校の制服が確かにあったはずなのに、今朝はそこに“見覚えのある”制服があった。
白いラインが入った黒いスカートをつまんだり、水色のブラウスの襟に通した黒いリボンを引っ張ったりしている私を一瞥したテツヤ。
「緊張、してるんですか?」
どうも落ち着きのない私に痺れを切らしたらしい。
「え!?いや…その…。
あっ!私たちって、双子…?」
沈黙が流れる。
ってしまった!!
なに聞いてんの私!!
本当の双子だったらこんなこと聞くのおかしいよな!!
ああああああ…。
もっと慎重にいくべきだった。
「そうですけど。」
少し驚いたような顔をしてからあっさり答えたテツヤ。
深く追求されなかっとことに安堵する。
やっぱりそうなんだ。
じゃあ………
だから!!
恐らくこれは夢だから深く考えるのはやめよう!
両手でパンっと自分の頬を叩いて「よしっ!」と言うと、テツヤに変な目で見られたが、これは夢なので気にしないことにした。