第6章 6Qー黄色の乙女
なんで私はあのとき黄瀬とぶつかってしまったんだ…。
自分の不甲斐なさに苛立ち、お箸を握りしめ項垂れる。
「おーい。名前っちー?」
顔を覗き込んできた黄瀬が少しかっこよく見えたので、思わずでこぴんをしてしまった。
「ひどいッスー!」と喚いている黄瀬を尻目に食事を再開する私。
「照れてる 名前ちゃんかわいい。」
と美祐ちゃんに言われたので あなたに言われたくありません と言い返しておいた。
恋をしたことが無いというわけではない。
前の世界では人並みに恋愛をしてきたつもりでいる。
確かに黄瀬の顔は実際見たときかっこいいと思った。
けど漫画を読んでいて付いてしまった『チャラ男』という印象が取れる訳ではない。
まだ黄瀬ことを何も知らないのに先入観にとらわれるのは悪いかなって思っていたところ「 名前っちーー!」と言って抱きつことうしてきたので、やっぱこいつはチャラ男のままでいいやと思いながら本日二度目のでこぴんをお見舞いしてやった。