第18章 18Qー緊張で言葉が出ませんです
赤司side
「あの2人やけに仲良いね〜。」
部活中、そう言った敦の目線の先に居るのは真太郎と名前。
ペアを組んで仲良さそうに、といっても真太郎が一方的に話しかけているようにも見えるが…2人でシュート練習をしている。
前日までは常に行動を共にしている訳ではなかった。
しかしどういう心境の変化か、今日真太郎が執拗に名前に近づいていることは事実だ。
だがそれは部活に関係のない話。
「俺には普段と変わらないように見えるが。」
部活に集中しろという意味も込めて、少し強めに敦にそう言った。
「でもあかちんも気になるんじゃないの〜?」
俺の言うことを聞き素直に練習に戻ると思っていたため、敦のこの言葉には少々驚いた。
「…俺はいつも通りだよ。」
この気持ちが何なのか、嫌でもわかっている。
しかし、この俺がそのようなことに現を抜かしている訳にはいかないのだ。
周りの部員に示しがつかなくなるし、自分もバスケに集中出来なくなる。
「こんな気持ち…必要ない。」
そう言ってから放ったボールは、ゴールを潜って悲しげにコートに落ちていった。