第18章 18Qー緊張で言葉が出ませんです
本当に黄瀬に任せて大丈夫だったのだろうかという疑問を持って午前中を過ごした私。
お昼休みにいつも通り教室に来た黄瀬に真太郎は大丈夫かと聞くと、『ばっちりっス!』とウインク付きで言ってきた。
心の中で本当かよ…と疑ったが、あまりに黄瀬が自信満々だったので言葉には出さないでおいた。
放課後、少しの心配を抱きながら向かった第一体育館。
「真太郎!」
体育館に入ろうとしている緑色の髪色をした大男が見えたので、少し大きめの声で彼の名を呼んだ。
振り向いた真太郎の表情は、朝とは比べ物にならない程穏やかで、黄瀬の言葉は嘘じゃなかったんだと確信する。
「体調どう?」
駆け寄ってからそう聞くと…
「ああ、良くなったのだよ。」
真太郎はそう笑顔で言った。
笑顔で言った…。
いや、笑うことは悪いことだとは思わないよ。
だけどあの緑間真太郎だよ。
歯見せて笑うなんて見たことないよ。
「名前、荷物を持ってやる。」
そう言い、唖然とする私が持っていたスクールバッグを取り上げた真太郎。
「え、ああ。うん。」
突然のことに思わずしどろもどろになってしまった私。
えっと…これはどういう風の吹き回しなのかな?
つい頷いちゃったけど鞄くらい自分で持てるよ!
バッシュに履き替えている真太郎にそう反論しようとしたが、機嫌が良い人をわざわざ怒らせるほど私は馬鹿じゃない。
仕方なく自分も上履きをバッシュに履き替え体育館に入った。