第18章 18Qー緊張で言葉が出ませんです
名前っちが去ったのを確認して、本題を切り出す。
「緑間っち。真剣に聞くっスよ。
」
「なんなのだよ。」
この超絶鈍感男に事実を伝えてわざわざ自分から敵を作るのも賢くはないと思うが、部活に支障をきたされたら困る。
俺はまだ2軍だけど次の昇格テストでは絶対1軍に入ってやるんス。
そのときに、緑間っちが恋煩いが原因で部活に居ないなんて洒落にならない。
バスケでは彼のことを認めているからこそ、そんなことで体調を崩されたらこっちが納得いかない。
「いつからその胸の辺りがもやもやするんスか?」
心底嫌そうな顔で俺を見つめる緑間っちにそう聞くと、暫く考えてから口を開いた。
「…お前が名前にべた惚れだと紫原に聞いたときからだ。」
やっぱり…。
てか自分の気持ちにも気づけないなんてどんだけ鈍感なんスか!!
俺は一つ溜息をついてから言った。
「緑間っち…。
それは恋っスよ。」
「は…?」
うっ…そんな睨むことないじゃないスか緑間っち…。
彼の睨みに一瞬怯んだが、鈍感なこの人を納得するような言い方を考える。
「…俺、名前っちのこと大好きっス!」
「……。」
俺がそう自信満々に言うと、緑間っちは眉間の皺を一層深めてめちゃくちゃ不機嫌になった。
わかりやす過ぎっスね。
「今どんな気分っスか?」
「嫌な気分なのだよ。」
「それ‘‘ヤキモチ”って言うんスよ。」
俺がそう言うと少し驚いたような顔をしたが、顎に手を当て何か考えてから、納得したようにうんうんと頷き始めた。
こういう話に鈍感だけど、頭は良いからね〜緑間っち。
「俺は負けないっスからね〜。」
まあこんな鈍感な人恋敵にもならないっス!
これから起こることもつゆ知らず、俺は足取り軽く自分の教室へと向かった。