第18章 18Qー緊張で言葉が出ませんです
黄瀬side
ある日の朝、俺は何時ものように名前っちに会いに1-Aへ向かった。
緑間っちの教室に居ることはわかっているんだけど、それを認めたくない自分がいて性懲りも無く毎日1-Aに行っている俺。
案の定名前っちは教室に居なくて肩を落として1-Dの教室へ向かった。
何時もの調子で教室に入った俺の目に入ったのは、かなり暗い雰囲気の名前っちと緑間っちだった。
何かあったのかと2人に聞くと、どうも緑間っちの体調が悪いらしい。
緑間っちは大したことないと言ったけど、汗もうっすらかいているし、いつも以上に眉間に皺を寄せている。
執拗に問い詰めると、緑間っちは渋々口を開いた。
彼の口から出たのは『名前』という単語。
前々から嫌な予感はしていた。
緑間っちは自分から人に関わりに行くような人じゃないし、誰かに笑いかけているところも見たことがない。
でも名前っちといる時は違った。
勉強も自分から教えてやると言ったらしいし、名前っちと話している時にはよく笑っている。
まあ笑うと言っても、口元を少し緩めるくらいなんだけど…。
これは…男同士で話すしかなさそうっスね。
「ちょっと名前っち。」
名前っちのことだから、緑間っちの口から自分の名前が出て自分のせいで体調が悪くなったと思っているんだろう。
困惑している彼女を教室から出て行くようお願いした。
「でも…。」と心配そうに俺の顔を見る名前っちに抱きつきそうになったがそこは我慢して、大丈夫だからと真剣に言ったら自分のクラスへ帰って行った。