第18章 18Qー緊張で言葉が出ませんです
恒例となった朝勉強中のこと。
真太郎は英文を書き写す手を止めて、私の方を見た。
「名前。」
「ん?」
「いや…。」
最近どうも真太郎の様子がおかしい。
まあおかしいのは元々なのだが、青峰たちと遊んだ日から更に変になった気がする。
今までのラッキーアイテムは手のひらサイズに収まる物が殆どだったのに、最近は引きずるように学校へ持ってくる物ばかりなのだ。
それに少し痩せた気もする。
「何かあったの?」
流石の私も心配になりそう尋ねると、気まずそうに視線を逸らした真太郎。
確実に何かある反応ですね、わかりやすいことで。
真太郎は少しの沈黙後、覚悟したかのように口を開いた。
「その…最近この辺りが変なのだよ。」
そう言って右手で心臓の辺りを抑えた真太郎。
「え…?大丈夫?
保健室行く?」
そこまで苦しそうには見えなかったのだが、心臓を抑えているので何かの病気ということもあり得る。
「いや…大丈夫だ。」
「でも…。」
真太郎の額の汗を見て、自分の手のひらにもじわっと汗が出ているのを感じた。
もう一度保健室に行こうと促そうとした時に聞こえた大きい声。
「あーーーー!名前っちまたここに居たんスかーー!」
少し怒るように教室に入ってきた黄瀬だったが、私たちの様子を見て表情を変えた。
「なんかあったんスか?」