第17章 17Qー動き出す歯車
目を閉じて木魚を叩き続ける真太郎をそろそろ止めようとしたとき、私の背後から声がかかった。
「みどちーん。」
そう呼びながら、紫原と青峰が私の隣に来ると、真太郎は目を開き木魚を叩く手を止めた。
「紫原に青峰。
何をしているのだよ。」
「俺は名前とデー「黙らんかい。」
青峰の失言を突っ込みで揉み消す。
「みどちんこそ何してんの〜?
…この変なの何?」
あの紫原でさえ顔を引きつらせて大きな木魚を指差している。
その気持ち、凄くわかる。
「変なのと言うな。
これはだな、江戸初期に伴天連によって創造された木魚であり、貴重かつ…」
その後5分ほどこの大きな木魚の素晴らしさについて説明をされ、途中で紫原は近くにあったお菓子屋さんへ入っていき、青峰は立ったままウトウトするという始末。
私は歴史、特に日本史は好きな分野なので真太郎の木魚の話しは意外と面白かった。