第17章 17Qー動き出す歯車
ここ数週間で私と真太郎はかなり仲良くなった…気がする。
私の苦手な理科の教え方が上手いし、毎朝オハ朝に基づいて何に気をつけたらいいかを教えてくれるからか、最近不運なことが無い。
「こんな所で何をしているのだよ。」
「いや〜…。」
青峰と一緒に居ただなんて言いたくないのでそこは何とか言葉を濁す。
「真太郎は何してたの?」と聞くと待ってましたとばかりにキランと眼鏡を輝かせ、持っていた袋から大きな物体を取り出した。
「名前、これを見るのだよ!」
「…木魚?」
木魚って高いよね。
これいくらしたの…。
「そうだ。
しかしただの木魚ではないのだよ。
この音色を聞いたら解る。」
先ほどの袋の中から木の棒を取り出し道の真ん中で木魚を鳴らし出したオハ朝信者。
ぼんぼんぼんぼんーーー
低く身体が震えるような音を奏でる木魚。
私には普通の木魚と何が違うのかがわからない。
今にもお経を唱え出しそうなその行動に苦笑いをするしかない私。
通行人も何やらこそこそ話しながら横を通っていく。