第2章 2Qー異名と×××
深く息を吸い込み、吐く。
相手の呼吸、心拍数、発汗量、そしてこの体育館の温度、湿度を全て感じ取る。
私の“目”に、綺麗に映るゴールまでの道。
バックターン、ドリブルターン、レッグスルー
ストバスのプレーをしたら青峰が煩そうだから、型にはまったプレーで1人…2人…3人…4人と、男子運動部員でさえ敵わないスピードで抜いていく。
ゴール下まで到達し、ジャンプシュートをしようとすると、最後の五人目が「っさせるか…!」と言いながらブロックをしてきた。
いい食いつきだ。
でも…………
「そんな高さじゃ届かないですよ。」
落ちていく部員を尻目につぶやき、ダンクシュート。
尻餅をついた五人目の部員。
静まり返る体育館。
ゴールに入った後落ちたボールの音。