第17章 17Qー動き出す歯車
次の日の昼休み、黄瀬が居なくなった頃を見計らって名前の教室に入った。
あいつは一生懸命ノートに何か書いていて、俺が名前の席の前に座ったことにも気づいてない様子。
真面目すぎるんだよ。
「名前。」
「うぉあ!何!!」
あいつは大袈裟に肩をビクッとさせてノートを隠していた。
「何隠してんだよ。」
「隠してないよ。で、何?」
ノートの存在を気にしつつも、今日来た目的を伝える。
「次のオフ1on1やり行くぞ。」
なに言ってんのこの人という顔で俺の顔を見た名前。
こいつの目は俺の髪色に似ている。
「バスケの前に勉強しなさい。」
綺麗な目だなと思ってたら妥当なことを言われ、直ぐに言い訳を考える。
「…アイス6段になっちまったし俺金欠なんだよ。」
「うーん…。」
「んじゃー午後2時半に駅前な〜。」
「ちょ、待ってよ!」
強引に約束を取り付け、名前の反抗の言葉を無視して教室を出た。
後で『忘れんなよ。』とメールしたら『うざ。』という返事とも言えない返信が来たので流石の俺も苦笑いするしかなかった。