第16章 16Qー初めての味は
廊下をルンルンと歩くモデル黄瀬。
その横を肩身狭そうに歩く私。
なんと異様な光景なのだろうか。
ちらっと横を見上げるとニコニコした顔の黄瀬と目が合う。
楽しそうだねと言うと「名前っちに抱きつかれたんだから当たり前ッス!」とのこと。
あの後何時もの如くクラスメイトに冷やかされ、弁解するのに必死だった私の苦労も露知らず…。
機嫌の良い黄瀬のことを恨めしく思いながらも、私は先ほどから疑問に思っていたことを口にする。
「どこ向かってるの?」
そう聞くと、未だ足取りの軽い黄瀬に「屋上に決まってるじゃないッスかァ!」と満面の笑みで返された。
「決まってるんだ…。」
「だって名前っちと色々できr「しないわ!」
頭は手が届かないので横腹を殴りながら突っ込むと、嬉しそうに笑っていたのでもう溜息しか出ない。