第16章 16Qー初めての味は
「……うわっ!」
もう少しで黄瀬が立っている入り口に着きそうなところで、またもや何もない場所で躓いてしまった私。
ああ、またかよ……。
そう思ったと同時に、不運にも黄瀬の胸に飛び込む様な形になってしまった。
「…名前っち!きょ、今日は大胆ッスね!!」
顔を紅潮させ挙動不審に言う黄瀬。
これは不可抗力。
誤解しないで欲しい。
「ごめん…わざとじゃないから。
今日の私ついてなくて…。
あまり近づかない方がいいよ。」
支えられていた腕から抜け出そうとすると、右手をバッと取られ真剣な表情になった黄瀬。
「…俺が守るッス!」
もうこれは流石に心臓に悪いしクラスの皆の視線も痛い。
やはり今日は厄日らしい。