第16章 16Qー初めての味は
嫌な汗が額にうっすら浮かんだことを感じ取ったとき、聞き慣れた声が教室に響いた。
「名前っちーー!迎えに来たっす!」
声の方を見ると、教室の入り口に笑顔でこちらに手をぶんぶん振ってる黄瀬が。
…来るの早いな!
昼休みが始まって1分程で私を呼びに来た黄瀬に驚く。
何てったって黄瀬の教室である1-Cは違う塔にあって、普通に歩いたら5分か6分くらいかかったはず。
あいつの体力は計り知れん…。
「はやくはやく!」と言う黄瀬を見て、耳としっぽが生えてるよ…と思いながら返事をし、お弁当を持って黄瀬の元へ駆け寄った。