第16章 16Qー初めての味は
「…名前っち…。」
寂しそうに眉を下げる黄瀬の姿に心が傷んだが、退院1日目から赤司に叱られるのは避けたい。
「またお昼に、ね!
教室戻らないとSHR間に合わないよ!」
泣いた子供をあやすように言うと、
「…今日はお弁当2人で食べるッス…。」
そう拗ねるように言った黄瀬は本当に子供みたいで。
それが可愛くてまた頭を撫でようとしたけれど、身長が高すぎて私の背と腕の長さでは届かないと予測し諦めた。
「うん、食べよう。」
頭を撫でる代わりにそう笑って言うと安心したようで、「また昼休み!」と言い残し走って帰っていった。