第15章 15Qー現実逃避
そんな私を不思議そうな顔で見つめた後、
ああそれと…と思い出したように言ったお母さん。
「名前の彼氏来たわよ。」
「…は?」
ルンルンな口調で言う母。
相変わらず可笑しな人だなぁと思う。
まず私にはそのような関係の人がいないし、思い当たる人も居ない。
「赤司…なんだったけっな。」
「…ぶっ!!」
今ドーナッツのかけらが鼻から出るかと思った…!
赤司ってあの…
後ろの席の…
「…征十郎?」
「そうそう!
テツヤにここの場所聞いてお見舞いに来たんですって!」
「…その人彼氏じゃないよ…。」
思うことは多々あるがとりあえず勘違いをしている目の前の天然さんに否定の言葉を伝えておく。
あらそうなの?と言って残念そうな顔をした母。
「でも凄く礼儀正しくて良い子だったわよ〜。」
イケメンだし、と語尾に音符が付くように付け足した母を見て、私はため息をついた。
それ表の顔ですよ。
そうツッコミしようとしたが余りにもお母さんが楽しそうだったので心の中に閉まっておいた。
あの赤司が見舞い…。
何か見返り求められそうで怖い。
赤司の名前が出たってことは、ここはまだ『黒子のバスケ』の世界らしい。
確かにさっき私の世界には無かった「まいう棒」を食べたからそうだとは思ってたんだけど…。
心の何処かでホッとしている自分が居た。