第15章 15Qー現実逃避
病院内のコンビニから帰って来た母の手には大量のお菓子が入った袋。
「まいう棒全種類買ってきちゃった。
これは名前の好きな飴でしょ、あとこれは…。」
ベッドに買ってきたお菓子を次々と並べながら説明する母に、こんなに食べれないよと言いながらもつい顔をほころばせてしまう私。
買ってきたばかりのお菓子をお母さんと食べながら話していると、私の担当のお医者さんが病室に来て具合はどうかと聞かれた。
「少し頭痛はしますけど…大丈夫です。」
「よかった。」
うんうんと頷きながら手元の書類に何か書いていく先生。
運ばれた当初の診断からみても、私が倒れた原因がわからないのだと言う。
何か心当たりはあるかと聞かれたが、私は首を横に振った。
あの時『黒子のバスケ』についての記憶を思い出そうとしたら身体に異変が起きた。
それに関係していることは確かだ。
しかし今それをここで言ったら何かが壊れてしまいそうで…私は口から真実を話すことをしなかった。
いや、出来なかった。