第14章 14QーNo.1の力を見せましょう
第一体育館を後にし、急いでグラウンドまで走る。
これ本当に遠いわ…。
『こっからグラウンド遠いぞ。』
練習前青峰が言っていた言葉を思い出す。
青峰のせいで赤司に怒られたことも思い出しむかっとしていると、月明かりに照らされ白っぽくなった髪を風になびかせているテツヤの姿が見えた。
「…テツヤ!」
名前を呼んだ後こちらを振り向いた兄に近づき、待ったかと聞く。
「いえ…。
来ないかと思いました。」
「来るに決まってるでしょ。」
私がそう得意気そうに言うと、小さく笑ったテツヤ。
笑うなと文句を言いながら、2人で何時ものように走り出す。
「今日は何周?」
「6周です。」
「………まじで!?」
テツヤは今までミスが10回を切ったことが無かった。
しかし今日は6周だけ走ればいいと言うではないか。
思わず大きい声を出してしまった私に、テツヤは少し笑って答える。
「まじです。
2軍に入れたことを思うと嬉しくなってしまって。」