第14章 14QーNo.1の力を見せましょう
体育館へ向かう道のり、
私、青峰、紫原、緑間の前を歩く赤司に声をかけられ、顔を上げた。
隣に来いというふうに目で指示されたので素直にそれに従う。
こうやって2人で歩くと入学式の日を思い出すな。
後ろに大男が3人居るのが入学式とは少し違うが…。
「1軍のメンバーに任命されても嬉しくないのか?」
私がよっぽど変な顔をしていたのだろう、赤司はそんなことを聞いてきた。
自然とそんな変な顔になってしまったのは不満だからとかそういうものではない。
私は本当に1軍のメンバーでいいのか、という不安。
「だって…今でも信じられないよ。」
私は真っ直ぐ前を見据えている赤司をちらっと見てから言葉を続ける。
「赤司はこんな時でも余裕そうな顔してるよね。」
ムカつくと言いそうになるのを我慢して。
「僕にとっては黒子が1軍に入ることは論を俟たないことだったからね。」
「何その自信。」
自信満々に言う赤司がなんだか可笑しくて少し笑いながらそう言うと、少し眉を顰めた赤司。
「それから…兄と区別するためお前のことは苗字でなく名前で呼ぶことにした。」
兄って…
テツヤのことか。
テツヤのことも名前で呼ぶのだから私は苗字のままでいいんじゃ…と思ったが、その思考は赤司の赤い瞳によって停止される。
「よろしく、名前。」
「…よろしく、赤司。」