第12章 12Qー本音で宜しく
「お疲れ〜。黒子名前ちゃんだよな?」
タオルの隙間から声がした方を見上げると、綺麗な漆黒の髪、切れ長の目の帝光バスケ部主将の顔が。
「…虹村さん!」
思わず持っていたタオルを落としてしまう。
「おー俺のこと知ってんだな。」
タオルを拾い、それを私に渡しながら言った虹村さん。
しまった…!
初対面で名前知ってるとかキモいよな…。
咄嗟に名前を呼んでしまったことを今更後悔する。
「はい…。」
急に声が小さくなった私を見て不思議そうな顔をした後、手を差し伸べてきた虹村さん。
「お前のことは監督から聞いてる。
よろしくな。」
「はい。宜しくお願いします。」
握手求めてくるなんてtheスポーツマンって感じだな。
そんなことを思いながら虹村さんの手を握る。
「絶対一軍来いよ。
これは仲間のためだけじゃなくてお前のための試合でもあるからよ。
自分のことだけ考えてもバチは当たらねぇ。」
私の心を見透かすような目をして言い、最後に「頑張れよ。」と付け足した虹村さん。
1軍の人たちと練習をしたいとは思ってた。
でも…この帝光中バスケ部のことをよく知っている異世界の私が一軍なんて入ったらなんだか駄目な気がしたけど…
『一軍に入りたい。』
少し欲張りな気持ちが顔を出した。