第12章 12Qー本音で宜しく
「……頑張ってみます!」
私が一軍の人達が座っているベンチへと向かった虹村さんの背中に向かってそう言うと、手をひらひらと振ってくれた。
***
「第2Q開始します!」
審判の合図と共に、両チームコートへ入る。
まずは相手のボールから。
先ほどのPGがドリブルをつく。
心拍数 134
発汗量 1250ml/h
気温 18.9度
湿度 67%
白く輝いて見えてくる軌跡。
PGがPFへパスを出すと見せかけ、シュートしようとしたボールをブロック。
弾かれたボールを空中でキャッチしトップスピードで自分のゴールへ。
もし一軍に入ることが出来たらキセキの世代と嫌でも関わらなければならないし
あの時の様に周りの人間に偏見を持たれてしまうかもしれない。
色々と思うことはあるけど…
今は‘‘自分のバスケ”を精一杯やり抜こう。
そうドリブルしながら決心し、叩き込まれたダンクシュート。
落ちたボールが跳ねる音と共に、誰かが唾を飲み込む音が聞こえた。
『奇跡の万能選手(オールラウンドプレイヤー)』
私はかつて呼ばれた‘‘異名”を思い出した。