第1章 プロローグ
【万理side】
しばらくしてマナちゃんは安堵したのか寝入ってしまった。
「寝ちゃったのね」
「まどかさん」
「まったくデリカシーの無い連中だわ。この子を何だと思っているのかしら」
ぶつくさいうまどかさんはコーヒーを手渡してくれた。
「ねぇ万理さん、貴方これからどうするの?」
「え?」
「この子の腕は元通りとはいかないし怪我だって、リハビリがあるわ」
「はい」
まどかさんは今後のことを危惧していた。
「学校は奨学金が打ち切りになっているし、大学側からも自主退学して欲しと言われたわ」
「えっ…」
「殺人未遂になった生徒を置いておくなんて大学側のイメージダウンだってね?」
「なんですか…それ」
あくまでマナちゃんは被害者なのにあんまりだと思った。
「貴方どうする気?」
「え?とりあえず明日からリハビリの練習に付き合おうかと」
「は?」
まどかさんは素っ頓狂な声をあげるも俺は鞄から出した本を広げる。
「一応調べたんですけど…やっぱり筋肉が拘縮しているので、リハビリよりも…」
「ちょっと待った!」
本をターブルに置きながら今後のスケジュールを見せる俺にまどかさんは声を荒げた。
さっきから俺達の会話は一切かみ合っていないのだ。
一体なんだと言うんだ?