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未完成な僕ら

第1章 プロローグ





万理さんの前だと言うのに私は何をしているんだろう。



「万理さん、ごめんなさい」

「いいんだよ」

感情を隠し切れなかった私はつい勢いに身を任せてしまった。



「警察が嫌いなんです」

「え?」

「いい思い出が無くて…それで」

今まで警察に関わっていい印象がない。
幼い頃からそうだったから、今でも警察に対する不信感は強かった。


全ての警官が嫌いとは言わないけど、あの時見た刑事は嫌悪感が隠せなかった。


「君は何も悪くない。悪くないんだよ」

幼子に言い聞かせるかのように万理さんは優しく頭を撫でる。

「悪いのは彼等だ。君はまだ目覚めたばかりなのに配慮が無さすぎる」

「万理さん…」

「まだ体を休めないとダメだから眠って」

「でも…」

こうなった以上はゆっくり休んでいられない。
考えないといけないことは山ほどあるし、これからの身の振り方を考えないと。


「いいから…俺の言う事も聞いて」

「はい」

これ以上我儘を言えなかった。
私を見る万理さんの顔があまりにも辛そうで、私は心が苦しかった。

私は大好きな人を苦しめる事しかしていない。

ここに駆けつけてくれたまどかちゃんも怒りながら泣いていた。

きっと心配をかけてしまった。
仕事もなく学校もきっと退学になってしまっている私は何もなくなってしまった。


でもまだ生きていた。

命だけはあったのは春樹が導いてくれたのだろうか?


まだ私はこの世界に留まらなくてはならなのだと。


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