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未完成な僕ら

第1章 プロローグ





俺は首をかしげた。
まどかさんが怒鳴る意味が全く解らない。


「万理さん…貴方この子と別れないつもり?」

「別れる!?」

「‥‥呆れた」

別れるってなんでだ?
これからマナは大変で一人で生活するのも難しいのに何で別れるんだ。

万一普通の生活ができなくても俺はその覚悟を持っている。

別れるなんて選択肢はない。


「解っているの?どれだけ大変か」

「今さらです」

同情で言っているんじゃないし、義務感でもない。

「俺はマナちゃんと別れる気はありません」


「イケメンね」

「ありがとうございます」

「そこ、お礼を言う所かしら?」


色々言いたいことはあるがまどかさんが一番心配していたことは杞憂に終わったが、まだ心配ご事はあるのだ。


「でもね…貴方が良くてもこの子が気にして別れてくださいなんて言うと思うのよね」

まずい、言いそうだ。
ぶっちゃけ一人で自己解決するだろうな。

「でも誤解しないでほしいのよ。あの子はね貴方が大好きなのよ」

「まどかさん…」

俺は落ち込みながらも耳を傾ける。

「あの子は優しすぎるから…大好きな人の為なら自分を犠牲にする子。過去にも似たようなことがあってね」

「…それは一緒に音楽をしていた人ですか」

「ええ」

空を見上げながらまどかさんは哀し気に言った。

「自分が足枷になるぐらいなら…と言ってね?馬鹿よね」

誰もそんな風に思っていないのにと思いながらもそれがマナちゃんなのだと知っていた。

「今回のことも、この子が一人でしょい込まなければこんなことにはならなかったはずよ」

「今回のこと…どういうことですか」

「悪質な悪戯なんかじゃないわ。今回のことは完全なる殺意のある犯行よ…マナを妬んだ女のね」

「Σ!」

偶然の事故ではないと薄々感じていた。
けれど真実は闇の中で何も解らない俺は何も言えなかったのだがまどかさんがすべてを話した。


こうなったいきさつも。


どうしてこうなったかも全て―――


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