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未完成な僕ら

第1章 プロローグ





あの後言うまでもなく万理さんは恐ろしかった。

何が恐ろしかったと言えば、笑顔なのに目がまったく笑ってない。

普段温厚な人間ほど怒らせると怖いのだと改めて身をもって知るった私は寒気を感じたほどだった。


部屋にて沈黙が走る中、二人は何も話そうとしない。

ふと気になったのが、万理さんの髪が随分伸びていることだった。

「万理さん、髪の毛長いです。オシャレですか?」

「違うよ伸びたんだよ」

「え?」

長い髪の毛を見る。

肩より下まである万理の髪の毛に驚く

「今春ですか?万理さん髪の毛伸びるの速いんですね」

少し前まではショートだったはずだ、なのにこの伸び方は早すぎると思ったが…

「私の髪が伸びてる?」

「あのね、マナちゃん…君はどれぐらい眠っていたと思う?」

「えーっとそれぐらいですか?」

万理は指で示す

その手を見て安堵する

「なんだ三日か…あれ?でも冬じゃないですね」

「三日じゃないよ!三年だよ!」

「三年!?」

万理さんの髪が伸びるわけだ
自分の髪もかなり伸びてしまっているのもうなづける


しかし自分が三年間も眠っていたなんて信じられなかったがカレンダーを見ると解る。

それに万理さんが少し大人びて見えるのだ。


「この三年長かったよ」

「ごっ、ごめんなさい」



申し訳なくなるがそこで気づく。

三年も過ぎていると言うことはだ、自クリスマスの日から眠り続けていたことになる。

そうなると…


ガバッ!


「ちょっと何して」

「万理さん、少し出かけてきます」

「何言ってんの!ずっと寝たきりで…」

勢いよく起き上がろうとしたが手が上手く動かない。

それだけではない。
体の筋肉が動かなかったのだ。

「うっ‥‥」

「だから言ったでしょ」

万理さんに支えられベッドに戻されてしまった所為で病室から出ることは不可能になってしまった。




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