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未完成な僕ら

第1章 プロローグ




「マナ!!!」

翌日ものすごい顔つきで突進してきたのはいうまでもなくまどかちゃんだった。


「このお馬鹿!!いくらあんたが頑丈でも車で撥ねられたら死んじゃうわよ!!」


「まどか君落ち着いて!!」

今にも発狂しそうなまどかちゃんを羽交い絞めにして抑え込む人物伝も泣きそうだった。


「ちくしょう!!マナを撥ねた犯人ぶっ殺してやる!!」

「まどかちゃん」

オネエではなく素に戻っているまどかちゃんが本気で怒っていることが解った。


「カオルも心配していたから連絡しないと」

「心配しているよね?」

「退院したらビューティーデラックスコースは確実よ」


二人してサロンに直行されるのを想像して本気で嫌がるが、マナに拒否権など存在しない。


「紡も心配していたからね」

「あー…」


目覚めたばかりで解らないことが多かったワタシはは無理をして起き上がろうとするが万理さんに止められる。


「無理して起きちゃだめだよ」

「大丈夫です」

「君の大丈夫はもう信じないよ」

「ええ!!」


眉を吊り上げながら万理は言い放つ。


これまで大丈夫だと言われてきたが大丈夫だったためしが一度もないのだ。


「今回に関しては私もよ…今回の件で私も反省したわ」

「まどかちゃん?」



険しい表情をして今回の一件を聞き自分の考えの甘さを恨んだ。



「失礼します」

「はい…なんです?」


病室に訪れた人物に返事をすると音晴さんとまどちゃんかがあからさまに嫌な顔をする。


その人は警察手帳を見せて頭を下げるが、万理さんは刑事達を近づけさせようとはしなかった。


「彼女はようやく意識が戻ったんですよ」

「ええ…ですから早速事件当時のことを…」

当時のことを聞かせてほしいという無神経な刑事に苛立つ万理さんは睨んだ。


「意識不明状態だった彼女に…「万理君」ですが!」


目が覚めて翌日にすることかと責める万理さんを抑え込む音晴さんは大人の対応をする。


「所で刑事さん、ひき逃げの犯人はもう見つかったんでしょうか?彼女の所に押しかけるぐらいですから目星はついているんですよね?」


「いいえ」


「随分とごゆっくりですね」



仏のような笑みを浮かべながらも遡に容赦のなさは大魔王のようだった。
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