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未完成な僕ら

第3章 第二部三年越しの思い





夢を見た。
まだ、私があの場所にいた頃の夢。

駆け出しで、大変な日々でも充実していた。

常に貧乏まっしぐらだったけど。
とっても楽しかった。

駆け出しのアイドルと新人マネージャーとプロデューサーの私達は常に一緒で苦楽を共にして来た。

特に私のビジネスパートナーの岡崎凛人。

愛称リンリン。

彼とは二人三脚で、彼等をマネージメントして来た。

優しくて少し天然だけど、料理上手。
面倒見が良くて誠実で温かい人で時々抜けているけど、本当に優しい人だった。


私はリンリンがだ好きだった。

事務所を立ち上げてま無しで余裕がなく貧乏暮らし真っすぐらだったけど、リンリンは私の大好きな卵焼きを焼いてくれた。


普通の卵焼きと違ってすごく分厚い特大サイズで、形も歪だけどリンリン特性の卵焼きが大好きだった。

だって、あの大きさはリンリンの愛情が籠っていたから。


だから、間違えたんだ。

玉子焼きの香りと私を優しく起こすあの手に。



万理さんと間違えるなんて!



「それで言う事は?」

「ごめんなさい」

「何についての謝罪かな?」

怖い!
口調は優しいけど目が冷たい。

「寝坊しました」

「それはいいよ」

「抱き着いてしまいました」

「毎日でも歓迎だよ」


じゃあ、何で怒っているの?


「本当に解らない?じゃあ、質問を変えるよ?リンリンって誰?」

「私の大好きな人です!」

「マナ」

何でさらに視線が鋭くなるの!

「堂々と浮気発言はどうなの?」

「え?浮気…そうじゃないです!リンリンと私はそんなんじゃないです」


確かにリンリン大好きだけど、そんな関係じゃない。


「えっと…リンリンはビジネスパートナーだった人で…」

「間違えて抱き着く程?」

「癖っていうか。挨拶代わりに抱き着いていたので」

「挨拶代わりって!外国じゃないのに?」


今日は随分と突っ込んで来るな?
私の愛情表現の一種でもあるのに、何をそこまで怒っているの?


「私だって人は選んでますし。誰にもしませんよ」

「その人は特別なの?」

「えー…まぁ」

まどかちゃんとは違う意味で特別だったかもしれない。


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