第3章 第二部三年越しの思い
翌日、何時も通りに起きた俺とは異なり、マナはまだ寝ていた。
疲れがたまっていたのか爆睡している。
「むにゃ…卵」
「どんな夢を見ているんだ?」
何で卵?
本当に予測がつかないと思いきや、そろそろ朝食を取らせないと俺も出れないと思い起こす。
「こらこら、早く起きて。朝ごはん食べないの?」
「うー…」
「大好物の卵焼きだよ」
「卵焼き…」
まだ寝ぼけているようだったのかボーっとしている。
「リンリン…卵は出汁巻がいい」
「は?」
「リンリン」
寝ぼけたまま俺に抱き着く。
「ん-?リンリン?」
いや、誰だよリンリンって。
「あれぇ?どうしたのリンリン…ん?」
俺に抱き着きすり寄る姿はとっても愛らしい。
でも、他の誰かと間違えられるのは正直嬉しくない。
可愛らしい名前であるが、絶対に男だと解った。
うん、食事の前に問いたださないと行けないな。
「マナ、少しお話しようか?」
「ん…へ?」
ようやく目覚めたマナは俺を見て回れ右をするがそうはさせない。
「おはようマナ」
「おおお!おはよございます!本日はお日柄も良く」
「うん、外は大雨で土砂降りだよ?雷も鳴り出したね」
「ソーデスネ」
顔を引きつらせるマナはこれ以上無い怯えていたが、ここで引き下がるわけには行かない。
「食事をしながらお話しようか?」
「でも、もう仕事に…」
「まだ時間が有るから大丈夫だよ?車を飛ばせばねぇ?」
「いや、安全運転を心がけるべきです!」
「うん。その為にも早く支度をして来てね?お話をするためにねぇ?」
逃げようとしてもそうは問屋が許さないよ。
そのリンリンとやらを聞かせてもらわないとね?