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未完成な僕ら

第2章 第一章失踪と置手紙





何故あの時のような悲しい顔をしているの?

「マナ…マナ!」

「万理さ…」

私を見て名前を呼び泣きそうな表情で抱き着く万理さんの手が震えていた。


「万理さん、どうしてここに!」

「それを言うの?何で病院から消えたの?何も言わずに」

「でも手紙…」

「あんな遺書みたいな手紙渡して!」

遺書って酷くない?
腕が自由に動かなくても、必死に書いたのに。

「でも学校は退学になったし仕事もないから…その」

「なら余計に出て行くなんて!」

「だからしばらくここに住もうかと」

「は?」

ここでようやく万理さんは涙を止めた。

「住む?ここに?」

「はい、私の新しいお家。ホームレスです」

「いやいやいや!何言ってんの!ホームレスって…女の子でしょ!」

さっきまで悲しみに暮れていた万理さんは通常に戻った。


「今時は女性の若いホームレスは珍しくないし。こう見えて私は留学期間に全財産盗まれてホームレスをしたことがあるんですよ!」

「威張らなくていいから!全然誇れないから」

「お金もあんまりないですから…ここなら家賃無料!ネットカフェも考えましたけど足がつくし」

よく考えればまどかちゃんのネットワークは広いから連れ戻される気がする。


「こう見えて私は悪運が強いから大丈夫です。だから万理さんは私の事は気にしないで彼女さんと幸せに…」

「ちょっと待って、本当にないから。俺は浮気なんてしてないよ?」

「え?でも…」

「沙耶さんは事務所の所属タレントでしかない。俺の恋人は君でしょ!」

「でも…三年も過ぎているし。私、こんなんだし」


怒った表情で言う万理さんに目を反らせる。
今の私は家無し、お金無し、仕事無しだ。

「私住所不定の無職で万理さんの寄生虫じゃないですか」

「彼女に言われたの…」

「えっ…あの」

どんどん万理さんの表情が閻魔大王様のように見えて来た。


「マナは俺を幸せにするって言ったよね?その約束も破るの?俺を不幸にするの」

「そんな!」

「俺に事好きじゃなくなった」

何でそんなことを言うの!

決まっているじゃない!



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