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未完成な僕ら

第2章 第一章失踪と置手紙





一期一会の出会いだったけど、素敵なお兄さんは元気を取り戻して帰って行った。

話しを聞いてくれたお礼に食事をごちそうになって申し訳なくなったけど。


本人が子犬のような目で私を見て来たので断れなかった。

なんというかギャップが半端ないな。
歌であれ、外見であれ、ギャップがある方が芸能界で受けやすいんだよね?

経験から言えばだけど。


「あの…また会えますか!またあの公園で!」

「ええ、またお会いしましょう。お兄さん」



互いに名前を名乗らない状態で別れた。

もし彼と縁があれば私達は会えるかもしれない。

縁がなければ会えないけど、それは神のみぞ知るのだから。



「素敵なお兄さんだったな」


彼との出会いは私を少しだけ前向きにさせてくれた。

優しくて素敵な笑顔で、きっとあんな人がアイドルになったら素敵だと思った。


「あ、そういえば名前聞き忘れた」

何処の芸能事務所に所属しているのか、ユニット名は何なのかもだ。


「でも…また会えたらその時に聞こう」

お腹も膨れ少しだけ心も落ち着いた私は寝床に向かった。


「あ、雨が降って来た」

ポツポツと雨音が聞こえ、空が泣いているようにも思えた私は傘を持ってきて良かった。


「早く公園に…」


ドームの遊具に向かうと傍でブランコに座り項垂れる男の人がいた。


「なんか今日な妙な日だな」

お兄さんの時といい、何故かブランコで落ち込む人に遭遇している気がする。

雨が降っているのに傘も差さないでどうしたのか?


「お兄さんどうしたんですか?」

急いで傘の中に入れようとしたら…


「万理さん?」

あの時と同じような目をした万理さんがいた。


どうして?


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