第2章 第一章失踪と置手紙
車を出して心当たりのある場所を探したけど、見つからなかった。
本当にどうしよう。
もう夜も遅いのに一人で出歩くなんて危険すぎる。
「何所に行ったんだよ…」
もしかして何処かで行き倒れになっているんじゃ。
「最悪だ…なんでももっと気を配らなかったんだ」
意識をとし戻してからも明るく振舞っていたけど、本当な不安でいっぱいだったはずだ。
大学は退学になって自由にならない体で不安を抱いて。
その挙句、俺が原因で責められてしまうなんて。
なのに俺は酷い男かもしれない。
今さらマナを手放すことができないでいる。
優しい男なら、彼女の幸せを願ってそっとしておくのかもしれないけど。
でも俺は――。
「無理だよ…もう戻れない」
君に合う前の俺に戻れない。
傷ついて、夢も失った俺に社長はもう一度夢を追う希望をくれた。
そして隣でずっと俺を守ってくれたのはマナだった。
「千もこんな思いだったのかな…」
あの時はあれが最善の選択だと思って手紙だけを残して去ったけど、去られた側の気持ちがこれだけ辛いなんて思いもしなかった。
今なら良く解る。
「マナ…君に会いたい」
俺は周りが思う程すごくないし、優しくもないんだ。
君がいたから普通に戻れたのに。
もう一度幸せを見つけられたのに。
「あれ?」
ふと、気づく。
「この公園は…」
探し回っている間にあの公園にたどり着いていた。
「何時の間にか来ていたんだ」
あの日、寒い冬に俺はここで一人悲しい歌を歌っていた。
悲しい歌を歌った後は幸せになる為の歌を歌おうと思っても悲しいまま一人だった俺は――。
雨が降り、濡れてしまった。
俺の涙を雨が隠してくれたけど、心が苦しくて悲しくてどうしようもない時に。
君は――。
声をかけてくれた。
「お兄さんどうしたんですか?」
そうこんな風に傘を差しだして。
「万理さん?」
「え?」
傘を差しだしてくれたのはマナちゃんだった。