第1章 firstpage...
すると、そこにはひとりの少年が気持ちよさそうに風に
流されながら眠っていた。
私は吸い込まれるように、はしごを登りきって少年の横に座った。
(誰だろう…??1年かな??でも違うクラスだよねー…)
私は、気づかれないように慎重に彼の顔に目を近づけて見た。
ピロリン♪
「わあっ?!」
突然鳴り響いた着信に私は声を裏返した。
その声に驚いたのか、少年は、ビクッとして瞼を開けて澄んだ瞳で私を見た。
寝起きだからか、あまり驚かない。
私は、苦笑いしながら携帯を握った。
「あ…あはっ…。ご、ごめんなさい…」
「…」
(うわー!!ノーリアクション!!なにこのひと、めっちゃ見つめてくるんですけど!!)
少年はフッと笑うと顔を背けた。
「え…?」
少年はまたフッと笑うと、次は声を上げて笑った。
「あっはっはは!!あはは!あはっ…」
「え、え、な、なんですか?!」
少年はまた寝そべったまま、また顔を向けた。
(う…わぁー…超、美男子じゃないですか…)
私はすぐに目線を外した。
私は、男子が嫌いなわけじゃないけど上手く会話できない。
それにしては今日のこの少年への謝り方は上出来だった。
「そんなびっくりしないでもいーんじゃん?」
「あっ…うん」
「…」
「…」
ち、沈黙…。
もう、教室戻ろっかな…。
そう思い、はしごに手をかけた瞬間。
「男子ニガテなの?」
ピタと手が止まった。
ぱっと振り返ると、少年は「違うの?」と言ってニコニコしている。
「いや、別に…!!」
そう言い残して、私はそのまま扉を開けた。