第2章 see again...
屋上のそよ風は今日はなんだか寒い。
携帯の画面に映るのは【滝井悠葵】と書かれたアドレス
5月2日…私は、ユキと他人になる…。
「さよなら」を言うの…。
削除を指でなぞる。
【本当に削除しますか?】
…本当にユキを諦めるの?可能性はないんだよね…?
【はい】の上に指をかぶせ、脳内で想い出が繰り返される。
中2の頃、言ってくれた…【好き】
嘘なのかもしれないけど【水琴と話してると、なんか楽しいわ】…
【恋愛感情で!】…【心配させんな】…
ふいに、涙が頬を伝った…。
「なんで…遊び相手が私なの…っ」
ボロボロと溢れる涙は冷たかった。
指が震える。
どうして…嘘の言葉ばっかりいったの…ユキ。
嘘に恋してたの?私…。
【俺がお前に嘘つくわけねーだろ。
信じれねーの?】
もう…わかんないよ…。
じゃあ、なんで…連絡ないの?あの時の言葉はやっぱり嘘?
好きだから…好きだったから…
「辛い…のっ…」
顔も見たことない。声も聴こえない。香りも知らない。
なのに恋をしたのはユキだからだよ…。
もう、私の記憶から君を消す…。
―【はい】―
押した指に涙が落ちた。
「ユキ…ばいばい」
滝井悠葵は、消えた。
…消えた。