第1章 純潔
シロを拾ってから一週間。
やんちゃなシロとの生活も慣れてきた頃。
俺と相棒の元に大きな仕事が舞い込んできた。
和「…潜入捜査、ですか」
俺と相棒は直属の上司の部屋で、今回の仕事内容を聞いている。なんでか知らねぇが今回は相当大きい案件っぽい。
今までは、自分の国の中で淡々と仕事をこなして来たけれど、今回俺らが潜入する先が国外だなんて。
もしかしたら初めてかもしれない。
依頼で、ターゲットが国外に居た時それを追って始末したことはあったけれど、俺らが出向くなんて…。
「これ、ほんとに俺らが…」
和「ま、決まっちまったもんはしょうがないでしょう…」
上司から『上手くやれ』と念を押されてやっと解放された俺と相棒は、会社の屋上で煙草を吹かしていた。
和「いつも通り、滞りなくやればいいだけっすよ」
「そうだな、ビビってても進めねぇからな」
和「へぇ? あんたともあろうお方がビビる…珍しいねぇ」
「人の発言の揚げ足を取るんじゃねぇよ」
和「へいへい」
カズも俺も初めての事に、少なからず緊張していた。けれど、躓いていても仕方がないから。
俺達に降って落とされた大きな仕事。
…やってやろうじゃねぇか。
その日の夜。
俺とカズは、自国から外へ踏み出した。