第1章 純潔
俺は少年を背へ乗っけると、その細々とした小さな身体に両腕を回す。
…にしても、軽すぎる。
なんて感想はどうでもいい。俺は取り敢えず、タクシーを探すべく少年を背中に乗せながら走った。
暫く走っていると、大通りが見えてきた。
やっと人通りの多い道に出られる。
俺は、なれない街を見渡しながら走り、やっとの思いでタクシーを拾った。
タクシーを路肩に停めさせ、辺りを確認しながら少年をまず乗り込ませる。
…追手は、まだ来てないな。
そう確認した所で少年がタクシーに乗った。それに続いて俺も急いで身を車内に沈める。
「××ホテルまで」
運転手に行き先を告げ、無事に車を発進させた。
「…っはあ」
俺は、ため息を吐きながら車席に身体を沈ませた。…何やってんだよ俺は。本当に厄介もんを拾っちまったじゃねぇかよ。
なんて自分の馬鹿さ加減に呆れながら、隣に小さく座る少年を見た。
少年はずっと俺の事を見ていたようで、自然と目が合ってしまう。
「…お前、なんなんだよ」
『えっ…あ、えと』
なんてぶっきらぼうに質問を投げかけてみても、まぁ…答えが返ってくるわけもないわな。
「いや、無理に答えなくていい…後でゆっくり聞くから」
『あ、はい…』
取り敢えず今は、相棒に連絡しないとだな。
俺は胸元のポケットから携帯を取り出し、バカンス中であろう相棒へと着信をかけた。