【 イケメン戦国 】宵蛍 - yoibotaru -
第8章 橙色 - daidaiiro -
「…おいしい、」
無意識に溢れたであろう言葉に、
「だろう。なんたって俺が作ったからな。」
「え?政宗が作ったの?」
「おう。またいつでも作ってやる。」
「わあ……、すごいね、これすごく美味しいよ。」
「ふっ、礼なら口付けでいいぞ。」
政宗さんも嬉しそうに反応して、人の布団越しに亜子のことを口説き始める。
亜子が近づく顔に反応したのが何だか気に食わなくて、
グッと政宗さんの顔を押し戻した。
「…食事の邪魔です。」
からかわれるのは分かってるけど、
つい条件反射でやってしまったことに後悔しながらも、
またニヤニヤと笑う二人の視線を受け流した。
顔に出さないようにしてるつもりだけど、眉間にシワが寄ってしまうのは仕方がない。
「にしても、病み上がりにしてはよく食べるな。」
「…どうせ起き上がれないし、今は…食べてチカラをつけるくらいしかやれることが無いですから。」
俺のその言葉に亜子がホッとするのが分かる。
ぱくぱくと重箱を空にすると、
それを持って政宗さんと秀吉さんは帰って行った。
帰り際、
「…ありがとうございました。面倒かけてすみません。必ず、早々に復帰します。」
そう頭を下げた俺を、二人は、
「しおらしいお前なんて気味が悪い。いつもどおり、ふくれっ面してろ。」
「だな。妙な気遣いはいいから、治療に専念しろ、待ってるから。」
明るく笑い飛ばした。