【 イケメン戦国 】宵蛍 - yoibotaru -
第7章 潤色 - urumiiro -
「亜子様、弓術の稽古は進んでいますか?」
話を変えようとしてくれたのか、三成くんにいきなり弓術の話を振られて、答えあぐねていると、
私より先に家康様が、
「やっと型を覚えたところだ。」
と、呆れたように答えてくれた。
確かにもう1週間くらいは教えていただいているのに、私はやっと形を覚えられただけ。昨日やっと少しだけ飛ばすことはできたけど、もう今日飛ばせる自信はあまりない。
情けなくて、へへっと三成くんに微笑むと、後ろから秀吉さんが呆れたように眉を下げた。
「家康、お前なあ、」
てっきり、私に呆れたのかと思ったけど、
その口からは家康様の名前が出てきて戸惑う。
「稽古中もその調子なんじゃないだろうな。
「甘やかすってこと知らないからな、家康は。」
「俺のやり方に口を挟まないでください。」
「…お前のことだから厳しく指南してるんだろうけど、その分ちゃんと、褒美も用意しろよ。厳しいだけだと嫌われるぞ。」
何だか話が変な方向に流れ出したから、
慌てて、家康様は優しいですよ、昨日も労ってくださったし、それに私の腕の痣も心配してくれた、と伝えようと、口を開いた時だった。
私より先に、
「別に、好かれたいなんて思ってません。」
と家康様が口を開いたから、
その言葉に胸がチクリと痛んで、思わず息を詰めて家康様の方を見る。目が合った瞬間、気まずそうに思いっきり顔を背けられて、いたたまれなくなる。
嫌われてるのは知ってるけど、最近少し優しい彼の一面を見れて近づけた気がしてたのに。
胸がキリキリ痛むのを感じて自然と目線が下を向く。