【 イケメン戦国 】宵蛍 - yoibotaru -
第6章 藍白 - aiziro -
弓術の稽古をつけるのが決まり、お茶を飲んでから、また字の勉強に戻ったあの子と三成を見送ると、秀吉さんが納得いかないと言った顔をしてため息をつく。
「あのなあ、家康、」
「何ですか、あの子がやるって言ったんですから、文句ないでしょう。」
「…はあ、」
「それより、秀吉さん。何しに来たんですか?」
まさか、あの子の様子を見に来ただけとは言わないだろう。いや、この人ならあり得るか。
秀吉さんは、大のつく世話焼きだから。
なんて思っていたら、ハッとして懐から大量の文を取り出して俺に手渡す。
「何ですか、これ。」
「読んでみろ。」
不穏な雰囲気を感じて文を開くと、そこには訳のわからないことが書いてあった。
『織田家ゆかりの美しい姫のお披露目を。』
『是非私の息子の許嫁となって頂きたい。』
『名前の分からぬ美しい姫。お会いできるのを楽しみにしております。』
どれもこれもこんな感じの恋文で唖然とする。何であの子に対してこんなに恋文が届くのか、問題はそこだ。
「秀吉さん、これ、」
「ああ、亜子あての文だ。あいつの存在が知れ渡ってる。」
「あの子はここに来てから一歩も外に出てません。」
「…だから、余計に問題なんだ。」
御館様と視察に出られた時に噂になったか、それともこの前の浪人の件と同じ何者か噂を流したのか。亜子がここにいるのはまだ知られていないが、各地の大名に存在が知れ渡ってるから更に狙われやすい。