【 イケメン戦国 】宵蛍 - yoibotaru -
第6章 藍白 - aiziro -
「俺は仲良くなりたいなんて言ってない。」
そう口にすると、
さらに険しい顔をした秀吉さんと、呆気にとられている三成。そして、その間で、とても寂しそうな顔をするその子が目に入った。
…チクリ、と胸が痛むけど、気付かないふりをする。
「家康。何でもいいから亜子に稽古をつけろ。」
「………、」
「なんだ?教えられる自信がないのか?」
「…そんな訳ないでしょう。」
「ならいいだろ。そうしたら亜子が時間を持て余すことも少なくなるだろうしな。」
分かった、というまでここを一歩も動かんぞ、
とでも言いたげな秀吉さんの態度に呆れながら、三成を睨む。こいつが妙なことを言い出したからこんなことになったんだ。
この子が悪い子じゃないのは、見てて分かる。
あれから何だかんだ言いつけを守って御殿から出る気配もないし。女中たちや、家臣にも気に入られているようだし。俺だけが未だに距離があるままなのも分かってる。でも今更、はい仲良くしましょうなんて出来るわけがない。
どうにかしてこの稽古の話を無くそうと、
「弓術…、それなら稽古をつけます。どう?しごかれたいっていうなら、引き受けてあげるけど、」
そう絞り出したのに。
この子は、
「…やります。」
と、きゅっと唇を結んだ。