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【 イケメン戦国 】宵蛍 - yoibotaru -

第6章 藍白 - aiziro -





「どうなさったのですか、秀吉様。」
「亜子について話してたところだ。」
「亜子様についてですか…?」
「ああ。」



まだ訳が分からないと顔を見合わせる二人をみて、秀吉さんはふっと険しい顔を緩めると、



「亜子、なんで女中の手伝いなんかしてるんだ?」
「…それは、その、する事がないので、」
「脱走せずに大人しくしてると思ったら…、お前は一応織田家ゆかりの姫なんだぞ?」
「…はい、分かってます。でもじっとしてるのは落ち着かなくて。」
「まあいい。気分転換になるし女中たちとは仲良くしてるみたいだしな。見た感じ、家康のせいで御殿に馴染めなかったんだろ。」
「いえ、…家康様はお忙しそうで会う機会もあまりなかったので、」



逃げ出さないなら何でもいい、と思ったのか、

この子の性格上人にはあまり頼らないと思ったのか分からないけれど、叱るのをやめた秀吉さんは、この子の最後の発言にまた顔を険しくする。

もちろん、怒りの矛先は俺だけど。

別に避けてた訳じゃない。でも俺とこの子は無関係だ。ただ、御殿で預かっているだけ。最初の方は、本当に御殿にいても合わなかったし、今はすれ違っても会釈程度。俺が一方的に見かけることはあっても、この子は全然気付かないし。



「…何ですか。」
「…亜子様と家康様はまだ仲良くなられていないということでしょうか?」
「まあ、そういうことだな。」
「…お前は口を挟むな、三成。」
「あ…申し訳ありません、家康様。仲良くなられるには時間が必要ですよね。」
「そういうことじゃな、」
「あ、いいことを思いつきました!」



…聞けよ、

と呟いた言葉は、目を輝かせる三成には届かない。



「家康様も私と同じように、亜子様に何か稽古をつけられてはいかがでしょう?」



家康様は博識ですし、目的があれば、有意義な時間を過ごせるのでは?亜子様はとても頑張り屋ですし、私たちもお勉強する間にお互いのことをよく知る事ができている気がします…!ね、亜子様?

と、その子の顔を覗き込んでいる三成に、深くため息をつく。全く、余計なことを…、



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